総研大 文化科学研究

研究ノート

陸産・海産の食料資源摂取率を
人骨の炭素14年代から求める試み

総合研究大学院大学・文化科学研究科・日本歴史研究専攻 伊達 元成

キーワード:

炭素14,海洋リザーバー効果,炭素・窒素同位体,食性

人間は雑食性であるため,海洋資源を食料として摂取すると骨には海洋起源の炭素が含まれることになる.この場合,海洋リザーバー効果の影響により骨の炭素年代は実際の年代よりも古くなる.このことはしばしば較正年代決定の上で問題となる.この影響をキャンセルするために,たとえば同位体分析から食物を推定し補正するなどの方法がある.

しかし,これとは逆にあらかじめ骨の実年代がわかっていればこの海洋リザーバー効果の影響で生じた炭素14(14C)年代との差から,陸上と海洋起源の食物依存率を算出することが可能なはずである.

そこで我々は死亡時期が推定できる骨から,死亡年代と骨の14C年代の差より,海洋資源の依存度を求める方法を開発するための基礎的な実験を行った.