総研大 文化科学研究

論文要旨

20世紀におけるオイラド・モンゴルの移住

―「ガンスン」の事例に関する予備的考察―

総合研究大学院大学 文化科学研究科 地域文化学専攻  チャスチャガン

キーワード:

モンゴル、オイラド、移住、新疆、ホボクサイル

本稿は、新疆ウイグル自治区のホボクサイル・モンゴル自治県に居住する「ガンスン」という集団が、甘粛とホボクサイルを往復してきた移住史を考察し、彼らの集団意識のあり方を検討することを目的とする。

「ガンスン」という名称は、ホボクサイル・モンゴルの他集団と彼らを区別し、移住に関連する歴史記憶が集団的感情を生み出し、強化している。また「ガンスン」同士の相互往来もその集団意識と密接に関係している。この三つの要素が「ガンスン」の集団意識の形成と継続に重要な役割を果たしていることを解明した。