総合研究大学院大学 文化科学研究科 文科・学術フォーラム 2008

ポスター発表

ポスター発表

近代日本の公と私、官と民―比較の視点から―

発表者所属名
国際日本研究専攻・国際日本文化研究センター
発表者氏名
猪木 武徳(国際日本文化研究センター所長)

研究の内容

「公共的なるもの」への人々の姿勢は、国のかたちを規定する重要な要素である。デモクラシーと市場経済のもとでは、社会的な紐帯を失いアトム化した個人は、「私」的な世界に閉じこもり、「公」的な事柄への関心を失いがちになる。「公」と「私」のバランスと境界はどこにあるか、それはいかにすれば保持されうるか。
本共同研究では、近代日本を主たる対象としながら、歴史的あるいは国際比較の視点から、「公」と「私」の問題を取り上げる。その際、理念としての公(共)と私と、現実の「官」と「民」を区別しつつ、歴史的側面(たとえば英米法と大陸法、あるいは西洋・東洋の公の哲学)、理論面(common goodの歴史、公的責任の制度論など)、現実の諸問題(プライバシーの概念と関連事件、メディアの役割とその活動への制限、公共経済的な政策など)など、参加者の専門分野に応じてさまざまの側面からのアプローチを試みたい。