総合研究大学院大学 文化科学研究科 文科・学術フォーラム 2008

ポスター発表

ポスター発表

マリのソンガイ人社会と開発援助

発表者所属名
比較文化学専攻
発表者氏名
内田修一

西アフリカのサヘル地方におけるソンガイ人社会と開発援助との関係を考察するために、当該地域における開発援助活動の現状を把握することを目的とした予備的調査を実施した。

[1] ガオ周辺の村落地域

マリ北部の都市ガオ付近に位置するF村、B村、G村においては、漁具購入のためのマイクロ・クレジット、魚の養殖、手工芸品制作及び野菜栽培の支援等が行われていたが、介入しているNGO及び支援を受けている住民グループの数において、村の間に大きな格差が存在した。この状況の一因としては、村と政治家等の有力者との関係が考えられる。また、国外の開発援助組織がローカルNGOを通じて村を支援する例が数多く見られた。援助の状況に地域の政治的力関係が反映されている可能性、及び開発援助に関わるアクターとしてのローカルNGOの重要性が確認された。

[2] アンソンゴ郡開発プロジェクト(PRODECA)

隣国のニジェールと国境を接するアンソンゴ郡において、灌漑整備を中心としたニジェール流域の開発によってとりわけ米の生産量を増加させ、地域住民の生活の改善を試みるプロジェクトが実施された。このプロジェクトにおいては、土地を稲作に使用している農民が生産量の増加自体を望まないケースがあった。プロジェクトの実施担当者からは、灌漑によって土地の価値が上がり、地主から土地の返還を要求される可能性を借地で耕作している農民が恐れたためであるとの説明をうけた。

[3] 市民団体の活動

国外の開発援助機関及びNGOの活動とは性格を異にする援助の事例としては、外国の市民団体が特定の村を支援するケースが見られた。ニジェール国境に近いK村の例では、当地を訪れたフランスのツーリストによって市民団体が設立され、村の支援と住民との交流が計画されていた。

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