総合研究大学院大学 文化科学研究科 文科・学術フォーラム 2008

ポスター発表

ポスター発表

情報系専門職大学院の教育-教員の語りの分析から-

発表者所属名
メディア社会文化専攻・メディア教育開発センター
発表者氏名
石原朗子

[1] 背景と問題設定

各報告で高度IT(information technology)人材の不足が言われる*1中、専門職大学院には実践的な教育への期待が高まっている*2。しかし、専門職大学院は開設5年強でまだ不透明な部分も多い。そこで、IT系専門職大学院に焦点を当て、教員自身の語りから教育をどのように行っているかを明らかにする。このことにより、専門職大学院の可能性、修士課程との違いを検討する可能性が広がっていくと考えられる。

[2] 目的

本研究は、情報系、特にIT系専門職大学院の教育の特徴を、教員の語りから探索的に明らかにすることを目的とした。

[3] 方法

調査概要

  • 時期:2008年10月
  • 対象:情報に関わる専門職大学院(A校)の教員4名

A校は2004年に開学の日本初のIT系専門職大学院である。この大学院は、新卒者を中心に、将来のCIOやプロジェクトマネジャー育成のため、ITとビジネスを中心に教育を行う昼間制の大学院である。

調査内容

産業界のニーズの取り入れ方、教育内容・方法・工夫、学生の特色など

データ収集法

各教員個別に約1時間の半構造化面接を行った。

分析方法

修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ*3 に準拠し、概念化を行った。

本研究は、情報系、特にICT(information and communication technology)に関する専門職大学院の教育の特徴を、教員の語りから探索的に明らかにすることを目的とした。

[4] 結果

分析の結果、約10~20個の概念が明らかになりつつある。現時点での主要な概念を挙げると、以下のようである。

表1 A大学の事例から抽出された主要な概念(現段階)
カテゴリ 概念名 カテゴリ 概念名
大学院の特色 修士課程と普通の大学 専門職大学院の教育 教育の発想
専門職大学院 プロジェクト型の学習
社会の状況 会社や社会の現実 教育の工夫・苦労
企業の教育 教育の方法
学生の多様性 学生の多様性と影響 人材育成の観点 教育で重視すること

[5] 引用文献

  • *1,*2

    石原朗子(2008)「IT人材育成の変貌と課題」(メディア教育研究第4巻第2号)

  • *3

    木下康仁(2003)『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践』(弘文堂)
    西條剛央(2008)『ライブ講義 質的研究とは何か』(上)(下)(新曜社)