イニシアティブ事業概要

学術交流フォーラム報告書について

 2012年度文化科学研究科学術交流フォーラム(以下、学術交流フォーラム)は、2012年10月21日(日)、22日(月)の2日間にわたって開催されました。文化科学研究科に所属する六専攻―地域文化学専攻、比較文化学専攻、国際日本研究専攻、日本歴史研究専攻、メディア社会文化専攻、日本文学研究専攻から教員、学生が参加し、各々の研究発表やシンポジウム、ワークショップを行ないました。この報告書は、それらの発表や催しの内容についてウェブを通じて公開するものです。また、ご参加いただいた方のレポートも掲載しております。


 学術交流フォーラムが学生中心の研究成果発表と教員中心のシンポジウムとを一本化した現在のかたちになって、今年度で5回目の開催となります。各々の研究発表を主体として他専攻とも交流するという大きな枠組みは一貫していますが、会場、発表者や発表内容、シンポジウムのテーマ、各専攻からの参加者、また運営する委員会のメンバーも毎年異なっており、年ごとにそれぞれ特徴を持ったイベントとなっています。

 今年度の学術交流フォーラムは、総合研究大学院大学基盤機関の一つであり、日本歴史研究専攻が置かれている国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で開催されました。学生企画委員会では、展示施設を持つという会場の特性を活用した内容にしたいという意図から、「博物館の役割―集める・保つ・伝える・究める―」というテーマに基づいて、シンポジウムやワークショップをコーディネートしました。シンポジウムの企画趣旨にありますように、現前の社会に対して、果たして学問がどのような役割を果たせるだろうか、という問題意識がこのテーマには含まれていました。また、シンポジウムのディスカッションにおいてフロアからもそうした意見が出されるなど、今、学問に携わる人々の多くが強く意識している問題であることをあらためて感じました。時間の制限からやや駆け足の議論となってしまったことが心残りですが、問題意識を共有するなどまとまった内容になったのではないかと思います。シンポジウムに続いたワークショップでも、学問と社会とのつながりを強く意識したグループワークが展開されたように思います。


 文化科学研究科という同じ研究科の中、また同じ専攻の中であっても、研究対象や研究手法はさまざまであり、その発表方法も違います。口頭発表やポスター発表では、とくにそうした特徴が浮き彫りになります。学術交流フォーラムは、他分野の研究や研究者と出会い、議論することで、今まで気づかなかったアイディアが浮かんできたり、自分の研究の特徴や独自性を見つめなおしたり、といった機会を得られる場といえます。

 本イベントが、ご参加くださった皆さんにとって有意義な時間となり、今後の研究に活きる一助となるようでしたら、企画・運営した委員会として大変うれしく思います。参加者の皆さま、ご協力くださいました先生方、総研大本部や各専攻基盤の事務の方々へ厚くお礼を申し上げるとともに、このような催しが今後も発展していくことを強く願っております。

 2012年度学生企画委員長 荻野 夏木