イニシアティブ事業概要

学術交流フォーラム報告書について

 本報告書では、平成26年12月20日(土)21日(日)に実施した総合研究大学院大学主催「学術交流フォーラム2014 文化をカガクする?」(以下、学術交流フォーラムと略す)の概要を紹介しています。学術交流フォーラムにて行われた口頭発表、ポスター発表、パネルディスカッション、料理体験ワークショップ、音・音楽ワークショップ、研究公演の各セッション内容の趣旨、及び参加者の発表内容についてウェブを通じて公開いたします。

 

 学術交流フォーラムは、平成25年度に事業の見直しが行われ、今回が2年ぶり6回目の開催となりました。今回の特色は、学生企画委員による発案をもとにしたプログラム構成にあります。その結果、口頭発表・ポスター発表・パネルディスカッション・ワークショップ・研究公演の各セッションが準備されました。同時にこれらのセッションの企画責任者として、1名ないし2名の学生企画委員が就く方式をとりました。これによってフォーラムの運営は、近年採られていた学生企画委員長・フォーラム担当教員が中心となって関係者全員でフォーラム全体を管理運営する全体管理方式から、個別企画の拡充によって複数の魅力ある企画を準備する個別企画方式へと変更されました。この結果、各企画責任者の研究内容や問題意識が最大限に発揮されることになり、従来までにはみられなかった各企画責任者の学術的実践的背景を確認することのできる企画が構想されました。特に料理体験ワークショップ、音・音楽ワークショップ、研究公演の3つのセッションは、企画担当者の研究内容、開催基盤である国立民族学博物館の博物館としての機能と役割、そして企画立案に能動的に取り組んだからこそ生じた各委員の熱意によって初めて成立した企画です。

 

 同時に文化科学研究科内の学術成果の共有と発信を目指すため、総研大学融合推進センターにて採択されている学融合共同研究事業の代表者・共同研究者の方々にパネルディスカッションを依頼しました。「共同研究から見つめる文科のいまとこれから」とテーマ化したパネルディスカッションでは、現在の文化科学研究科で行われている研究動向や共同研究のあり方について共有することを狙いとしました。これに加え、従来からの口頭発表とポスター発表も実施することで、大学院生・教員同士による学術成果の共有と発信を目指しました。

 

 テーマである「文化をカガクする?」は、これらの各企画の構想を支えています。人文科学による学術研究の意義と役割について、さまざまな場面において問われるなか、本テーマの「文化をカガクする?」とは、文化科学研究科の学術研究「カガク」のいまを、主催者・参加者でともに考え共有することで、人文科学の学術研究が担う「文化」の未来について発信する意図が込められています。特に今回は、人文科学の研究で扱う「しりょう」(資料・史料・試料)の役割・意味に焦点を当てながら、学術研究の内容について、多くの人びとと共有する方法やさまざまな人々に発信する手段を共通の課題としました。これによって「文化をカガクする?」という主題には、研究方法や発信方法の異なる全セッションを「カガク」として繋ぎ合せる役割も与えられています。

 

 なお本事業の実施にあたり、総研大基盤総括事務係、ならびに各専攻基盤事務の皆様にはさまざまな局面においてご協力を頂きました。また学外の国立民族学博物館、チャンドラ・バスカラ、市山神友会の皆様には、事業の実施にあたり多大なご理解ご協力を賜りました。この場を借りて、ご協力いただきました全ての皆様に心からお礼申し上げます。

平成27年3月31日
平成26年度学生企画委員長
東城義則